AWS、Azure、GCPが競争相手になるとき

Greg Kogan    
エンジニアでもあり、B2BソフトウェアおよびAIスタートアップのグロースコンサルタント
この記事は、著者の許可を得て配信しています。
https://www.gkogan.co/blog/big-cloud/

誰かが会社のチャットにAWSのプレスリリースを投稿するところから始まります。 見出しには「AWSはFooBarを発表します」と書かれています。

一般的にお知らせは、具体的な技術には言及しないのですが、会社の製品が入った大変な量の専門用語が含まれています。顔をしかめるこの絵文字→😬でレスポンスする人もいれば、AWS FooBarが当社の製品とはまったく違うものだ、自分の製品の方が断然優れている‥‥というような内容のことを返信する人もいます。あらゆる反対の意見の嵐で、AWSのプレスリリースの話題はふっとびました。

確かに、その危惧は正しいです。

過去6年間、エンタープライズソフトウェアスタートアップのマーケティングコンサルタントとして、企業がこのシナリオでナビゲートして8回以上成功するのを支援してきました。[1] この記事では、すべてのソフトウェアスタートアップがこのシナリオに備える必要がある理由、最初のパニックが正当化される理由、また「Big Cloud」(AWS、Azure、GCP)からの代替ツールに対して製品の位置づけについて書きたいと思います。

すべてのソフトウェアスタートアップは、AWS、Azure、GCPに対抗する準備をすべき

現在Big Cloudと競合していなくても、すぐにそのチャンスが来るはずです。

これは、製品がサーバーレス、ストリーム処理、機械学習、コンテナ化、IoT、データウェアハウジング、またはバッチ処理スペースという場合には特に当てはまります。 Rightscaleの調査によれば、これらは最も急速に成長しているクラウドサービスであり、Big Cloud企業はそれを知っています。

Big Cloud企業の収入の大部分は、ストレージ、コンピューティング、ストリーミングなどの従量制課金からのものです。これらのインフラストラクチャーのワークロードを商品にしたBig Cloud企業は、多くの顧客をインフラストラクチャーに取り入れるためだけに、スタック内で差別化された製品を提供する競争を行っています。

これは、製品ポートフォリオの規模と製品リリースのペースを見れば明らかです。AWSには182の製品があり、2018年に83の主な製品の発表(発売またはメジャーリリースの発表)が行われました。[2]

Big Cloudが同じような製品を発売するときにこそ、注意すべき

Big Cloudが同じような製品を発売することになり、自分の製品の販売の邪魔になると現実逃避をしたくなります。 社内メールで、Big Cloud製品が「それほど競争力がない」、「当社のものほど良くない」、「市場のほんの一部の人しか買わない」ということとそれに対する理由を述べたメールが飛び交うでしょう。

おそらく、こういったことは本当に起きるでしょうが、現実逃避をするのではなくBig Cloud製品との競争を真剣に受け止めるべき正当な理由があります。

1.リソースの不均衡

ビッグクラウド企業はブルートフォース(総当たり)戦略で勝つことも可能です。エンジニアリング、マーケティング、販売にとんでもないリソースを注ぎ込んで、競合他社を追い越すか競争を長引かせるかという局面に持ち込みます。より良い製品を入手したり、市場でわずかに有利なスタートを切るだけでは十分ではありません。

2.複雑な関係

AWSパートナーネットワークなどのBig Cloudパートナープログラムに参加しているスタートアップは、機密情報と貴重なリソースを競合他社と共有していることに気付くでしょう。 彼らにとって、プログラムを終了するということは、潜在的に重要な収集チャネルを放棄することを意味します。

一方、Big Cloudはスタートアップパートナーを失っても、痛くもかゆくもありません。それゆえ得た情報に慎重になることもないのです。

3.ブロードリーチと影響力

AWSは、ステージから1,000人、Eメールで10万人、またテレビコマーシャルで何百万人もの人に影響を与えることができます。 Big Cloudは、ブロードリーチとブランド認知を使用して、人々が市場をどのように認識し、人々の意思決定を行うかということに対し、影響を与えることができます。

4. 無理やり話を聞かされる客

自ら積極的な態度で話を聞いてくれる顧客よりも優れているのは、無理やり相手の話を聞かされるような受け身の顧客です。Big Cloud企業には数百万人のユーザーがおり、すでにプラットフォームを使用し、その製品のことをよく知っています。こういった顧客にしては、数クリックで製品のアップセルとクロスセルを行うことができます。

5.価格

ほとんどのBig Cloud製品の目的は、利益を上げることではなく、顧客をプラットフォームに誘導し、インフラストラクチャーをより多く使用(コンピューティング、ストレージ、ストリーミング)してもらうことです。 したがって、製品は目玉商品になる可能性があります。インフラストラクチャーをよりたくさん利用してもらうために、商品は非常に低価格か、もしくは無料という価格設定がされます。 スタートアップにとっては、こうすることで何とか価格競争をするという選択肢を排除することができますが、最悪の場合、価格の穴埋めをすることもできずに、単に価格を下げざるを得ないという事態になります。

6.簡単なアクセス

すでにAWSを使用している企業のエンジニアは、簡単にAWS製品を購入し、デプロイし、統合することができます。 従量制課金では、初期費用もなく、交渉もする必要がありません。 同じプラットフォーム上にあるということは、ツールとサービスのシームレスな(継ぎ目のない)統合を意味します。

7.早期決断

以前は、意思決定者は、ソリューションを社内で構築するか、ベンダーからソフトウェアを購入するかを選択する必要がありました。 今では、Big Cloud製品は低価格で、アクセスも簡単で、ブレインシェアもあるので、意思決定者にとって新しい選択肢が増えました。クラウドプラットフォームが提供してくれるものをぜひ使ってみてください。

以前は「購入vs構築」という構図でしたが、現在は、「購入vsビルドvs Big Cloud」となっています。

ソフトウェアスタートアップの場合、これは、顧客との対話や商品への評価、また機能の比較がなされる前に、購入プロセスの早い段階で除外されることを意味します。

Big Cloudに勝つ方法

準備

展示会に参加し、迫り来る競争について内部情報を教えてくれる可能性のあるインサイダーを探し、世論の動きに注意をしていち早く情勢を掴むようにします。事前に情報を知って警戒することで、より深いお濠を掘って戦いに備えることができます。備えをしっかりしておくことで、プレスリリースが出たときに会社全体のパニックを回避することができます。

Big Cloudに対抗するための先制戦略により、発表後の最初の大々的な広告の波に同時に乗ることができ、そういったキャンペーンを活用して自社の製品に注目させることができます。他の何も知らないスタートアップ企業は驚いているだけで何の戦略もないで、そういったスタートアップと差をつけることができます。

適切な戦略を使って実行することで、Big Cloudの競争力のある製品の発売が、スタートアップとその市場にとってメリットのある変曲点に変わる可能性があります。

現在Big Cloudと競合していない場合でも、しっかりと準備を行うことで、行動を取る時間を見極め、タイミングを掴み、成功する可能性を高めることができます。 自分の製品がクラウドコンピューティング、ストレージ、またはストリーミングの使用をリモートで促進するような場合でも、競争に対して準備する必要があります。

Multi-Cloudのサポート

Rightscaleが同じ内容を調査したところによると、企業組織の84%がオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウド環境に散在するアプリケーションとワークフローを持っています。

あなたの商品が「AWS上のXにとってのナンバーワンソリューション」であり、AWSがXに対するソリューションを立ち上げた場合、あなたの商品は、1位との差がだいぶ開いた2番目のソリューションにはなるでしょう。

組織全体の問題を解決したい購入者にとって、自分の製品がさまざまな環境で機能する場合、その製品は実行可能な(おそらくはより良い)オプションのままです。そういった購入者には、AWSの一部で機能するだけのソリューションではなく、インフラストラクチャー全体で機能するソリューションが必要です。

Multi-Cloudやハイブリッド環境のサポートがあるため、クラウドサービスを使用する代わりにソフトウェアを購入したと、答える人はとてもたくさんいます。

Multi-Cloudやハイブリッド環境のサポートは、Big Cloud製品全体に対して、決定的なメリットになります。 また、機能における小さなリードとは異なり、このメリットはしばらく続くものです。Big Cloud企業には、他のプラットフォーム用の製品を作る動機になるものはありません。

KubernetesGravityなどのオプションを使用すると、その機能を製品に追加する膨大なエンジニアリング作業が不要になる場合があります。

オープンソーシングの前によく考えてみる

オープンソース製品の全体または一部は、認知度と信頼性を高めるには役立ちますが、競合他社の参入障壁を下げることもあります。新規でとても人気のあるオープンソース製品Xの場合、AWSがElasticsearchで行ったようにBig Cloudが「Managed X」オファリングを導入する、またセキュリティ製品とペアリングして「X for Enterprise」としてパッケージ化するのは簡単です 。例えばAWSがMongoDBと組んだりGoogleがKubernetesでやったりしたような方法です。

(Kubernetesのストーリーにはいくつかの面白い工夫があります。まず、Dockerはオープンソースのコンテナ化製品をリリースしました。有料のコンテナ管理サービスを開始する時には、Googleはすでに独自のコンテナ管理ソリューションKubernetesを開発し、オープンソース化しています。Dockerがマネージドコンテナ向けのエンタープライズソリューションをリリースした後、GoogleはGoogle Kubernetes Engineの発売でDockerを再び打ち負かしました。

例えば、AWSがオープンソースソフトウェアElasticsearchの「完全に管理された、スケーラブルで安全な」パッケージを開始したとき、そのソフトウェアのメーカーは次のことを認めました

「…Amazonは潜在的な顧客を求めて当社と競合しています。Amazonは我々専用のソフトウェアを提供できませんが、Amazonの製品の価格設定により、製品の価格を調整する能力が制限される場合があります。」

オープンコアビジネスモデルの疑問点の残る利点は、それを利用することを恥じていないBig Cloud企業との競争にさらされている脆弱性と組み合わさっているのですが、私はそのメリットが理由で、製品を保護し、オープンソースにしない、またはすでにオープンソース化されていた場合の脆弱性を制限することを企業に勧めています。ConfluentがオープンソースソフトウェアであるKafka(Confluentからのオープンソースソフトウェア)と同じ作戦をConfluentから引き出したとき、Confluentがライセンスを変更したからです。

商品ではなく、カテゴリーに対してのポジション

企業が製品を並べて比較する前に「ビルドvs購入vs Big Cloud」のどれにするか決定するようになった今、スタートアップは自分たちの製品をソリューションの「Big Cloud」カテゴリー全体に対するより優れた代替品か補完品になるものとして位置づけなければいけません。

どれがより優れた機能を持っているかについては話さないようにしてください。 まず第一にBig Cloud企業が利用できるエンジニアリングリソースを考えると、機能のメリットは短命です。 第二に、購入者は購入プロセスのかなり後の段階で機能の比較を行います。それらの製品の機能ではなく、自分の理解をベースにしたオプションの大部分を除外した後に比較するのです。

それでは、(おそらく)高いコストとデプロイの時間が必要なのにもかかわらず、あなたの製品がBig Cloudより優れているのはなぜでしょうか?

購入者とのインタビューから得られた一般的な回答を記載しておきます。ただ、その理由は、あなたの製品に適用される場合と適用されない場合があります。

どこでも、どんなものにも対応する

「当社の製品は、あらゆるインフラストラクチャー上のアプリケーションでもデプロイ、実行、インテグレートできます。 アプリケーションのハイブリッド環境またはマルチクラウド環境を走らせている組織は、制限なしに、また1つのクラウドプロバイダーに統合することなく、製品を使用できます。

非技術ユーザー向けのセルフサービス

「Big Cloudプロバイダーの製品は、多くの場合、エンジニア、オペレーター、アーキテクト、開発者など、インフラストラクチャー関連の仕事の人など、専門的なユーザーにサービスを提供しています。 当社の製品は、専門的じゃないユーザーでも、技術チームにブロックされたり、技術チームに負担をかけたりすることなく作業を行えるような仕様にしています。」

エンドツーエンドのソリューション

「当社の製品は、部品と他のシステムを接続するためのエンジニアリング作業を必要としないエンドツーエンドのソリューションです。 Big Cloud製品は、プラットフォームの他の部分とうまく機能するビルディングブロックのように機能しますが、それ自体ではそれほど有用ではなく、使用することさえできません。」

特定の目的に役立つように設計された専用のソリューション

「私たちの製品は、色々な業界特有のニーズを解決するために作られていますし、今後も開発され続けます。既に持っているシステムや、ワークフロー、ツール、システムや人とシームレスに統合します。」

専門的なパートナー

「顧客のユースケースに関連する文章と例に加えて、規模に関係なく、すべてのお客様に専門的なサポートとコンサルティングを提供しています。」

顧客主導の開発

「私たちは、お客様にとって最適な製品を作ることに焦点を当てており、顧客のためにインプットと新たなニーズに基づいて絶えず改善を行っています。」

Big Cloud製品に対する自分の製品のメリットを説明があまり上手くできない場合は、GravitationalNetlifyで行ったように、AWS、Azure、またはGCPを選んで購入した人に聞いてみてください。

Big Cloudに対抗するための新しいポジショニングを開発した後、それを新規または更新されたメッセージングに変え、そのメッセージングで会社を調整し、販売およびマーケティングチャネルを通じて市場に送り出します。

まとめ

Big Cloudの参入は、必ずしも死を意味するものではありませんが、深刻な問題です。Big Cloud企業の脅威を認識し、それに対して準備し、適切な戦略を立てて、切迫した状況に緊張感をもって反応できるスタートアップは、生き残ります。また生き残るだけではなく、それ以降もさらに繁栄することができます。


[1]不完全なリスト:AWSがAuroraをローンチしたとき、私はFoundationDBのコンサルをしていました。 AWSがElasticsearchサービス(ログの検索によく使用されます)を開始したときのScalyrです。GoogleがGKEを開始したときのGravitational。 AWSがSagemakerをローンチしたときのDomino Data Lab。 AWSがGlueをローンチしたときにEtleap。 GoogleがAloomaを買収し、AWSがAWS Lake Formationを立ち上げたときのNexla。 GoogleがFirebaseを買収し、GitHub(Microsoftが所有)がActionsをローンチしたときのNetlify。

あるケースでは、私は反対側から見た意見を述べています。スタートアップのParticleがIoTソリューションを立ち上げたとき、私はAT&Tに独自のIoTプラットフォームと市場の立ち上げのコンサルを担当していました。

[2]製品数は概算であり、G SuiteやOffice 365などの一般的なビジネス製品グループは含まれません。


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