オープンソースは不況に強いのか?

Dries Buytaert    
オープンソースCMS「Drupal」の創業者。
この記事は、著者の許可を得て配信しています。
https://dri.es/is-open-source-recession-proof/

世界は今、恐ろしい時代を迎えています。世界のこの状況にみんなが不安を感じています。世界的なパンデミックの発生、OPECの崩壊、米中貿易戦争の激化、世界中の株式市場の暴落…。私自身の家族を含め、人々の生活への影響を目の当たりにし、この困難な状況を実感しています。

こういった状況がオープンソースにどのような影響を与えるのか、周囲の人からよく尋ねられます。世界で起きていることはあまりにも異常なので、正確には難しくて予測することはできません。この先にどんな未来が待っているかは未知数ですが、オープンソースは今までもあらゆる不況をうまく乗り切ってきたという事実はあります。

不況のせいで多くの人が困難な局面を迎えてきましたが、オープンソースのコミュニティには、不景気の時にこそ自分たちを維持し、さらには成長させる力があると私は信じています。

第一に、大規模なオープンソースコミュニティは、みんなで進歩していけるという集団の力を信じていて、一緒に何か素晴らしいものを作り、互いに助け合っている世界中の人々で構成されています。オープンソースのコミュニティは、売上高の伸び率ではなく、集団としての目的、寛大な心、そして優れたソフトウェアを構築したいという願望が主体となっています。このような価値観が、オープンソース コミュニティを回復力のある再復興可能なものにしているのです

第二に、景気が悪化している間は、組織はコストを下げ、自ら経営をコントロールし、より少ないコストでより多くのことをしようと努力するようになります。オープンソースを導入することで、これらの組織が生き残り、繁栄することができます。

不況にもかかわらず成長を続けるオープンソース

過去2回の大きな不況期、ITバブル(2000年~2004年) と世界的大不況 (2007年~2009年) のニュースとデータを振り返って、オープンソースがその時にどういう状況だったのかを見てみました。

2009 年の InfoWorld の記事によると、2000-2001 年 (ITバブルの時期) はオープンソース・ソフトウェア・コミュニティにとって最大の成長期の 1つだったということでした。

20 年前、オープンソースはオペレーティングシステム、データベース、ミドルウェアの分野でプロプライエタリな(非公開の)ソフトウェアに挑戦し始めたばかりでした。ガートナー社によると、ITバブルの崩壊により、Linux のエンタープライズ市場への導入が加速しました。エンタープライズ市場での導入が加速したのは、企業がイノベーションのペースに妥協することなく、IT支出を削減する方法としてオープンソースに注目したからです。

それから8 年後の世界的大不況の場合にも同じ傾向が見られました。2009年にフォレスター氏によれば、より多くの企業がオープンソースソフトウェアの使用を検討し、実際に実装し、拡大し始めたということです。

2009年には、最も著名なパブリック・オープンソース企業であるRed Hatは、プロプライエタリなソフトウェアの素晴らしい大手企業でした。2009年初頭にオラクルやマイクロソフトの利益が減少する中、Red Hat の前年比収益は11%増加しました。

あの大不況の中でAcquiaを立ち上げたことはものすごく危険を伴うことでしたが、結果的にはうまくいったと言えるでしょう。この話は逸話になっています。景気の低迷にもかかわらず、Acquiaは2009年から2011年まで大不況の後の数年間、前年比で収益を伸ばし続けました。

私はまた、いくつかの老舗のDrupal代理店やコンサルタント会社(Lullabot、Phase2、Palantir.net)にも確認しましたが、そうした企業も大不況の中でも収益を伸ばしてきたというのです。彼らの成長はDrupalとオープンソースが不況の結果として受けた恩恵に直接起因しています。ここでも、ビジネスはイノベーションや品質を犠牲にすることなく効率的であることを求めたオープンソースに注目していました。

オープンソースが成長を続け、勝ち続ける理由

さらに10年後には、オープンソースの方がプロプライエタリなソフトウェアよりも安価になりました。さらに、オープンソースはこれまで以上によりセキュアで、よりフレキシブルで、より安定したものに成長しています。今日では、オープンソースを使う利点は、過去の不況の時よりもさらに意味のあるものとなっています。

オープンソースの貢献は、個人のキャリアにとっても重要な踏み台となっています。失業中の開発者の中には、時間と才能をオープンソース・コミュニティに投資してスキルセットを拡大したり、履歴書を作成したりする人もたくさんいます。オープンソース・プロジェクトに参加することで、人は何かを与えることも、そして得ることもできるのです。

それは組織にも当てはまります。世界中の組織が、オープンソースに貢献することで競争力が高まることを理解し始めています。オープンソースに貢献し、他の組織とイノベーションを共有することで、組織は複合的で素晴らしいイノベーションサイクルの一部に組み込まれることになるのです。

あのような不況をもう一度経験したいとは思っている人は誰もいません。しかし、もしそうなれば、今日の私たちを取り巻くすべての不確実な状況にもかかわらず、オープンソースは成長と拡大を続け、その過程で多くの個人や組織の役に立つことができると私は楽観的に考えています。


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