この記事は、著者の許可を得て配信しています。 http://blog.rlmflores.me/2020/10/14/what_is_expected_of_an_engineering_manager
要約: 私がエンジニアマネージャーに期待することは次の3つです。
それぞれの組織にはそれぞれの働き方があり、あなたの存在意義も組織によって異なるかもしれません。今回は一般的にエンジニアマネージャーに期待されていると思われるポイントをいくつか集めてみました。
インテル元CEOのアンディ・グローブ氏は著書「ハイ・アウトプット・マネジメント」の中で、「マネージャーのアウトプットは、自分の組織のアウトプットと自分の影響力が及ぶ隣接する組織のアウトプットの合計である」と定義しています。彼はまた、強い影響力を及ぼす行動を取るようにと提案しています。彼がCEOとして行っていたことは、新入社員にインテルの歴史、価値観、目標を説明する入門的な話をすることでした。こういうことをうまくやれば、新入社員全員に大きなインパクトを与えることができます。
強い影響力を発揮する良い例としては、他のリーダーとの連携が挙げられます。ビジネスの方向性を理解し、そこに到達するための技術的なロードマップの作成のサポートができるということです。もう一つの強い影響力を発揮する例は、チームの各メンバーが新しいスキルを習得するように指導することです。そうすることでチームの視野を広げ、組織への影響力が高まります。
チームのアウトプットは本当にメンバー次第なので、エンジニアマネージャーに期待されるのは、チームのメンバーをサポートし、メンバーの成長をバックアップすることです。
チームのメンバーを採用して成長させることを考えるには「自分の代わりになってくれる」と考えるといいでしょう。みんなのことを本当によく知らないと、実際にはそういうことはできません。チームメンバーの長所と短所は何か?彼らの目標は何であり、何が彼らのモチベーションを高めているのか?彼らはどのレベルのことを運用しているのか?彼らが次のレベルに行くために必要なものは何か?
1対1の面談はここで大きな役割を果たします。それぞれのメンバーについての詳しいことを知ることのできる時間なのです。信頼関係を築き、お互いを理解し合うための素晴らしい時間です。またそれぞれのメンバーに期待値を設定することも大切です。それぞれに明確な期待値を設定することで、何をすべきか、何をすべきではないか、どのようなレベルで実行すべきかについて、より具体的な概念を作ることができます。フィードバックは難しいテーマですが、具体的な例を挙げてフィードバックを裏付けることができれば、何を認識しているのか、あるいは建設的なフィードバックをしているのかがより明確になります。フィードバックは継続的に行うことが大切です。このことについては、フルニエ・カミール氏の著書「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス テックリードからCT0までマネジメントスキル向上ガイド」で詳しく書かれています。 1対1の面談ごとに、例に裏付けられたフィードバックをするようにしましょう。
建設的なフィードバックをしているにもかかわらず、改善が見られない場合は、すぐにそのフィードバックの内容を明確にしてください。不十分なパフォーマンスに対処することは簡単なことではありませんし、時には彼らが指導で改善されることを願っていますが、上手くいっていないことを明確にすることはあなたの仕事の一部であり、模範的な行動はどういうものかを決め、改善のためのタイムラインを設定する他ミングです。役立つツールは明確な期待、あなたがそれらのためになると思う行動、および期待されるタイムラインを設定する個人的な改善計画です。
この仕事の難しいところは、そうやったとしてもパフォーマンスを発揮していない人がいれば、その人を解雇しなければならないということです。受け入れられない行動をする人がいた場合、それに対する行動を取ることもみなさんの仕事の一部です。パフォーマンス不足への対処/解雇は難しいテーマです(私はあまり経験がありません)。こういう場合、HRビジネスパートナー(経営者や事業責任者に対するビジネス上のパートナーとして、特に人と組織の面からサポートを提供し、事業成長を実現するプロフェッショナル)とあなたの上司に助けを求めることを強くお勧めします。
年に数回会社で行われる業績評価においても、会社はあなたをあてにしています。業績評価では、それぞれの社員の実際のパフォーマンスとキャリアアップについて話し合うことができます。彼らが本当にうまくいっている場合は、同僚や上級管理職に昇進を促したり、首長したりすることができます。また、この期間を利用して、次のサイクルに向けて何を改善し、何を学ぶ必要があるかについての目標を設定することもできます。会社によっては、この期間を利用して、期待値を下回った人のパフォーマンス改善計画を設定することもあります。業績評価に対して不安を感じる人もたくさんいますが、1対1の面談ごとに継続的なフィードバックを行うようにしていれば、年に数回の業績評価でもそこまでびっくりするような内容が飛び出す面談にはならないはずです。
最後におすすめするのは、私は(マイクロマネジメントのない)デレゲーション(人に仕事を任せるということ)についてもっと学ぶことを強くお勧めします。タスクをどのように行うべきかについて社員に自主性を持って取り組ませることは、彼らの成長を促し、より高いレバレッジを発揮することに集中することができます。すべての行動をコントロールすることはできませんし、ミスがあった場合は、そこから学ぶように指導しなければなりません。Ray Dahlio氏の「Principles: Life and Work」という本にはこうあります。「ミスをしても大丈夫な文化を持つべきであり、そこから学ばないことは容認できないということを徹底しなければならない」と。Googleはまた、心理的安全性について多くのことを研究し、リスクをとったとしも安心できるチームを作ることが大切だとしています。
会社はあなたに、配送、品質基準の設定、チームに必要なサポートがなされているかどうかの確認、上層部が必要なフィードバックを行っているかどうかをしっかりフォローするよう求めています。
デレゲーションはそのためにあります。影響力を発揮するためには、プロジェクトの実行をチームにデレゲーションする必要があります。何かをデレゲーションすることは、その納品について責任がなくなるという意味ではなく、納品がきちんと行われていることを確認し(またはそれが行われていない場合は、その理由を説明する必要があります)、その納品をサポートする必要があるということです。
アンドルー・グローブ氏は、経営者が行う4つのタイプの活動について語っています。「情報収集」、「情報提供」、「 意思決定」、「ナッジング」の4つです。価値を提供することをサポートするときには、次の活動を行います。何を提供するかについての情報を取得し、その前後でコミュニケーションをとり、意思決定についてチームをナッジ(一押し)し、意思決定に大きなトレードオフがある場合や、チームが意思決定できない場合には、取得した情報に基づいて意思決定を行い、その根拠を他のみんなに伝える必要があります。決断に議論の余地がある場合は、議論の余地があるポイントと、検討されたトレードオフを明確に明示しましょう。
繰り返すことで決定が混乱します。チームが決定をする必要があり、それについての議論を収束できない場合、決定が障害物である場合、トレードオフを理解し、すべての関係者と議論し、決定を下すのはあなたの義務です。もしそれが複雑に思えるなら、それは本当に複雑だからです。
コミュニケーションは、おそらく納品業務において最も重要なツールです。情報を取得し、あなたの仲間と一緒に目的を作り、パートナーとなり、チームに解決中の問題を伝え、興味を持っているすべての人に進捗状況を伝えます。
決定が大きなものではなく、チームに影響を与えるだけの場合は、チームに委任してトレードオフについて議論することをお勧めします。例えば選択肢の中の1つがいいと思って選んで、他のものに大きなマイナス面を持っていない場合は、ナッジすると良いと思います。あなたがそれが最善だと思ったその選択肢となぜそう思うかその理由をみんなに伝えるのですが、これだけは、覚えておいてください。あなたの言葉に重みがあり、他の社員は、マネージャーがすべての決定を行うことを常に期待しています。
もう一つの重要な仕事は、ビジョン、ミッション、目標を設定することです:ビジョンは長期的な目標であり、5年後に達成することができるようなものです。ミッションは、短い期間(6か月)の目標です。また目標はガードレールのようなもので、目標に向かってちゃんと進めるようにしてくれるものです。OKRs(目標と主要な成果)メソッドでこの目標が設定しやすくなります。
チームや会社が大きくなると、ルールやポリシー、注意事項のリストなどが作られるのは避けられません。あなたのチームのリーダーとして、チームや会社のプロセスを創造し、改善し、または不要な部分の省略などを常に実践することが期待されています。
アジャイルマニフェストでは、プロセスやツールよりも人と人との相互作用を重視しているので、プロセスの評判はとても悪いです。特にもっと官僚的なものは。しかし、プロセス自体が問題ではなく、問題はそれを人々や相互作用の上に置いていることです。
私は最高のプロセスは自己調整型のものだと思っていますが、それだけでは十分ではないことは承知しています。2~3人のチームでチームのバックログを自己管理するのはうまくいくかもしれませんが、5~6人のチームでは、毎週の定期的なミーティングで議論し、組織化されたカンバンボードは貴重なツールになるかもしれません。
私は新しいチームでは、プロセスが少ない、または全くない状態から始める傾向があり、問題が発生したときには、プロセスを誘導して、実験することに同意するようにしています。経験を積めば、他で見たことのあるパターンや解決策が見つかるかもしれませんが、チームやコンテキストはそれぞれ違うので、他のチームから取ったプロセスが新しいチームに完璧にフィットすることはほとんどありません。
それがうまくいかない場合は、おそらく再協議する必要があります。みんながプロセスに従わないことを文句言い始めますが、そうではなく、反省し、何が動作し、何が動作しないかを把握してください。
プロセスが他のチームから来て(プロセスを「過程」という意味で考えていましたが、プロセスが他のチームから来るとあるので、また違う意味なのでしょうか?手順という意味の方がぴったりきますか?)あなたのチームが満足していないケースがあるかもしれません。あなたの義務は、そのポイントを収集し、他のチームにその懸念を伝えることです。実際にはすべてを解決する必要はありませんが(できません)、フィードバックをし、他のチームの懸念事項にも耳を傾けることが大事です。
この記事は、マネージャーになりたいと思っている人の最初の読み物として書きました。この記事があなたが理解を深めるのに役立つことを願っています。これらのトピックについての本や研究はたくさんあります。また、それらについてのスキルを向上させることで、マネージャーとしての仕事の質を大幅に向上させることができることがわかります。
いくつかの企業が取る一般的な道は、チームの中で最も先輩の人を選んでマネージャーに昇進させることですが、良いマネージャーになるためには技術的な知識だけではなく、多くのことが必要です。また、きちんとコミュニケーションがとれることもマネージャーとしては重要な要素になります。
もっと詳しく知りたい方は…
私はカミールフルニエ氏の著書「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス――テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド」を強くお勧めします。この本は、マネージメントの暖海の各ステップの包括的な概要が分かりやすく書かれています。
人材管理と特にフィードバックについての素晴らしい本は、「Radical Candor(徹底した率直さ)」という本です。この本では他人を思いやることだけではなく、批判的なことも率直に伝えることも大事だと説いています。
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